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社労士が顧問先のメンタルヘルスに携わるべき時代―産業医&社労士の下村洋一氏に聞いた―

今年の12月1日からストレスチェック制度がはじまるのをご存知でしょうか?厚生労働省主導で従業員50人以上の事業所において、社員のこころ (メンタル) の状態を把握・管理しようという取り組みがスタートします。離職理由の46%がメンタル疾患といわれている現在では、就労者全員にとって決して他人ごととはいえない状況があります。「安全に安心して働きたい」と現状を耐えている人たちにとって、本制度は救いの手になるかもしれません。

今回はご縁があり、産業医として活躍され社会保険労務士(以下、社労士という)としての見識もお持ちの下村洋一先生にお話をお伺いする機会をいただきました。そこで間もなくはじまるストレスチェック制度の概要と、社労士が顧問先企業のメンタルヘルス対策に積極的に参入すべき理由などをお伺いしました。

 (以下、敬称略。聞き手は石盛)

ストレスチェック制度とは?発足のきっかけなど

――今年12月からはじまるストレスチェック制度の概要について教えてください。

(下村) ストレスチェック制度は、50人以上の事業所が希望する常時働く労働者に対象としています。年に1回しかるべき機関にて職業性簡易ストレス票(推奨)などを利用して高ストレス者の判断を行い、必要であれば該当した労働者に必要な措置を講じるものです。

――ストレスチェック制度はどうして発足したのでしょうか?

(下村) ストレスチェック制度が発足するきっかけとなったのは、今から5年前の長妻厚労大臣(当時)の一言でした。政府が打ち出した「平成32年度にメンタルヘルス対策に取り組む事業所を100%とする」目標を達成するために、ストレスチェックを法制化し義務付ける流れとなりました。

――下村先生は、この制度をどのようにお考えでしょうか?

(下村) 精神疾患による労災認定件数や医療費の増加を食い止めたいとする厚生労働省の意図も見え隠れするのですが、産業医としてストレスによる精神疾患で休職を余儀なくされた労働者を見てきていますので、救いの制度になるか動向を見守りたいと思っています。

特に衛生管理者は膨大な事務負担を強いられるので早い段階で信頼できる産業医と提携して衛生委員会を設置いただければと思っております。

メンタルヘルス対策には、事業所・社労士・産業医の三位一体で取り組める体制が理想

 

――話は変わりますが、社労士と産業医の提携が必要というのはどういった理由からでしょうか?

(下村) 産業医をはじめ、医師・看護師など保健スタッフは、あくまでも医療職なんです。嘱託先の労働者の体調やこころの状態は診察できても、嘱託先の労務管理その他の労働に関する事項については専門外なのでできません。しかしながら、職場における健康管理と労務管理は密接な関係があります。つまり、労働関係法を遵守していなければ労働者は過重労働となりやすくメンタル不全を招く可能性があります。事業所を介して産業医と社労士は、お互いに情報共有や提供をできる関係を築くのが理想です。

社労士は産業医に労務管理に関する助言を行い、産業医は労働者や事業所の同意を得て社労士に該当労働者の労務管理が適正なものか否かの確認を求めるなど、産業医・事業所・社労士が三位一体となって社員のメンタルヘルス対策に取り組めるのが理想だと考えています。

――なるほどですね。社労士の先生がストレスチェック制度に関わる可能性というのは出てくるのでしょうか?

(下村) そうですね。これからはじまるストレスチェック制度において要設置となる衛生委員会においても産業医とともに社労士に、積極的に参入していただきたいところです。労務管理の専門家としてお持ちの知識を存分に発揮していただいて議論に持ち込み、委員会の活性化を図ってほしいところです。

また万が一、顧問先の会社などが産業医や顧問医との契約をしていない・考えていない場合などにも、産業医や顧問医の必要性を十分に把握して顧問先に導入するように働きかけ経営陣に理解を求めるのも、ひいては顧問先のプラスになることですので、ぜひとも同じ社労士として実行していただきたいことなのです。

――ストレスとメンタル不全による労働者の休職と転職のことについて教えてください。

(下村) 中間管理職だけではなく特に若い世代に増えてきていると感じています。新入社員研修で体調を崩してしまい入社式に出席できなかった社員も過去にはいました。メンタル不全の場合、中途半端な休職期間を設定してしまうと、復帰後すぐに再休職しなければならない状態に陥ることもあるため、本人はもとより会社にも大きな損失となります。

嘱託産業医の立場としては、会社が必要としている人材が離れていくのは良しとしません。しかし、長期にわたる社員の休職は、会社の大きな負担になります。転職することでメンタル不全を早期に克服できるのであれば、本人や会社のためにもその選択肢も良いのではないかと思います。

――下村先生、本日は、お忙しいなか、ありがとうございました。

 

下村先生は、社労士のメンタルヘルス対策やストレスチェック制度への積極的な参入を心から望んでおられます。そのために、社労士対象の勉強会や講演会をはじめ、資料提供や教材による支援も行っているそうです。興味を持たれた先生はぜひ、下村先生に問い合わせてみられてはいかがでしょうか。

 

産業医・社会保険労務士・労働衛生コンサルタント
下村洋一(しもむら よういち)氏

東京都社会保険労務士会品川支部所属。大学病院・がん検診センター勤務医、病院内科医長を経て大手企業診療所にて産業医に。2002年、下村労働衛生コンサルタント事務所開設。ライフワークは「働く人の健康」

 ■下村労働衛生コンサルタント事務所 http://www6.plala.or.jp/manbow/

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