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異能のニッチ弁護士、「麻雀プロ」津田岳宏弁護士の射程|【インタビュー】

昨今の弁護士数の急増に伴い、特に開業弁護士にとって暗いニュースが散見されるようになりました。しかしながら不況下でも着々と業績を伸ばす企業があるように、開業弁護士に逆風が吹く中にも、熾烈な競争に巻き込まれることなく独自の分野で活躍する弁護士たちがいます。

 こうした弁護士たちは「ニッチ弁護士」と呼ばれることが多いのですが、この言葉にはいくぶん誤解も含まれているように思えます。つまり競争を避けてニッチな分野に飛び込んだというよりも、自分の好きなもの/やりたいことの延長上に弁護士業務があったと言ったほうがこうした「ニッチ弁護士」たちの特質に合うのではないでしょうか。

 さてそんな「ニッチ弁護士」の中でもひときわ個性的な輝きを放つのが津田岳宏弁護士。これまでの多くの書籍刊行やブログ、ニコ生放送など精力的な活動を通じてすでにご存知の方も多いと思いますが、弁護士と麻雀プロの二足のわらじを履き、手がける案件は雀荘をはじめとする賭博法関連のもの。一般的に「悪」と見なされることが多い「賭博観」およびそうした社会通念の上に成り立つ「賭博法」に異を唱える「麻雀プロ&弁護士の津田岳宏氏」はどのように誕生し、またそのまなざしは現在何を見ているのでしょうか?

今回は京都グリーン法律事務所の津田岳宏弁護士にインタビューさせていただきました。

津田岳宏弁護士へのインタビュー

―まずは弁護士業のかたわら麻雀プロになった経緯を教えてください。また「趣味」ではなく「プロ」という看板を背負って闘われる理由について

 A.麻雀プロになった経緯は、実は「人に誘われて」という消極的な理由なんです。

僕は全国麻雀業組合総連合会や大手麻雀店チェーンの顧問を務めていて、麻雀業界には多数の知り合いがいます。そんな中、ある人から誘われて麻雀プロの「資格」を取りました。

 

 ―ブログのプロフィール欄には「日本中の麻雀店にかかわる事件を手がけています」と書かれています。思わず「一体どんな事件があるのだろう?」と興味を抱いていしまうのですが、これまで担当された中で印象深い麻雀関連の案件は?

A.数年前、ある麻雀店が賭博罪で検挙された事件の弁護を担当しました。賭博罪は現在の日本の社会状況と大きく矛盾しています。僕はそういう主張を詳細にして無罪を訴えたのですが、結局通りませんでした。現在、賭け麻雀はたとえ僅かでも賭ければ違法だというのが判例です。裁判所がその判例を覆すことはなさそうです。

賭けに対する法律の扱いを変えたいのであれば、やはり政治に働きかけていかないと駄目だと痛感しました。

 

 ―津田さまは話題書を数々出版されていますが、「賭けマージャンはいくらから捕まるのか?」ではご専門でもある「賭博法改正」をテーマに、一方最新作である「カラマーゾフを殺したのは誰か?」では「ウソの見分け方」というテーマで書かれており、その興味範囲の広さがうかがえます。そこで現在最も関心のあるテーマは?

A.僕の一番の関心はやはり「賭博罪」です。賭博罪については、要件をしっかり理解している人が少なくて変に”萎縮”している人も多いようなんですね。たとえば最近よく相談を受けるのが、「賞金付き」のゲーム大会を開催したいんだけど…という相談です。賞金が付けば賭博罪になるのでは…と考えている人も多いのですが、きっちりとスキームをつくれば賭博罪にはなり得ません。

 賭博罪への萎縮から面白いコンテンツができないのは社会的にも損失です。最近ではスマホゲームをつくるときなども、賭博罪との絡みを気にされる企業が増えています。そういうゲームメーカーに対して、賭博罪の正確な知識を伝え最大限に面白いコンテンツづくりを助けるのが僕の役割です。

 麻雀もそうですが、夢中になれるゲームがあるというのは幸せな人生です。

仕事でイヤなことがあっても「週末になれば〇〇ができる!」というものがあれば頑張れます。面白いゲームは人を幸せにします。作り手が“萎縮”して面白いコンテンツが世に出ない、という事態には絶対させないと僕は思っています。

 

―賭博罪が₍主にゲームの₎コンテンツを規制するというのは非常に興味深いです。他にはどのような負の側面がありますか?

A.賭博罪というのは風紀に対する罪です。僕は風紀罪の専門家ですが、風紀っていうのはたとえば表現の自由になんかにも関わってくるんですね。戦前は映画や演劇も風俗営業の一種だと警察は考えていました。最近のテレビなど見ていると、どうも自主規制し過ぎなんじゃないかって思ってしまう。

 出版もそうかもしれないですね。「言葉狩り」がけっこう多いでしょう。表現の自由と風紀の関係は、本来表現の自由の方がかなり優先されるべき事柄です。表現の自由というのは民主主義社会でもっとも大事な自由ですから。風紀を優先して表現の自由を自重するというのはほんとに危ない。

 太平洋戦争中の日本というのは、まさに風紀が最優先されていました。国がそうなれば終わりです。最近は少しそういう風潮が見られるのでイヤな感じを抱いています。風紀への取締りのあり方というのは国の状況をあらわす大事なことなんです。自由と風紀はどう調整されるべきか、というのも僕の関心ある大きなテーマのひとつです。

 

―「麻雀プロ」についてもお話を伺いたいのですが、弁護士「津田」氏という視点から見たプロ麻雀界はどのように見えるのでしょうか?

A.さきほど僕は麻雀プロの「資格を取った」という言い方をしました。

あえてそういう言い方をしたのは、現状麻雀プロが「職業」と言える人はごくわずかだからです。麻雀プロの資格を持っている人のうちで、それが収入に繋がっている人はごくひと握りしかいません。

麻雀には悪いイメージを持っている人もまだまだ多く、それが麻雀プロの待遇の悪さにも影響しています。そういう麻雀プロの世界に良い影響を与えられるような活動も今後積極的にしていきたいと思っています。

具体的には、現在僕がスポンサーになっての放送用賞金付麻雀大会の企画を進行させています。麻雀プロが恵まれないのは、結局のところスポンサーが少ないからです。僕自身がスポンサーになって、スポンサーがペイする例をつくっていきたいんですよね。

さらに賭博罪の専門弁護士である僕が大会を企画することによって、「こういう賞金付大会は賭博罪にはならないですよ」という実例もつくれる。世間には賞金付麻雀のスポンサーなんかになったら賭博罪になるんじゃないかと”萎縮”している人や企業も多いので、「いやそんなの全然大丈夫なんですよ」ということを身を持って伝えたいのです。

そうして麻雀のスポンサー増加に繋げたいですね。僕は麻雀というものに本当にお世話になってきたので、麻雀業界のためになることはどんどんしていきたいと思っています。

 

―ちなみにお堅いイメージのある士業ですが、「麻雀プロ」という新しいプロフィールが加わったときの周囲の反響などは?

A.僕は5年くらい前から麻雀業界の事件に多数関わってきて、業界ではそこそこは名の知れた存在だったので、「プロ雀士になった弁護士」ということでの特段の反響はないですね。どちらかと言えば「津田さん、麻雀プロになったんですね」という反響です。

 

 麻雀プロ&弁護士という肩書をもつ津田岳宏弁護士ですが、そのまなざしには「過度なコンテンツ₍自主₎規制」や「風紀と自由の緊張関係」など射程の長い問題意識が根底にあることがわかります。

 マーケティングに苦戦される弁護士の声が少なからず聞かれます。そこで「ニッチであること」を一度は考えたことがある方もいらっしゃるかもしれません。しかし今回の津田弁護士のまなざしは「なぜ自分は弁護士になったのか?」の根本に立ち返らせてくれるかのようでした。

 「カジノ法案」やスマホゲームの爆発的な普及を受けて今後の津田弁護士の動向にはさらなる注目が集まりそうです。

 

京都グリーン法律事務所&麻雀プロ最高位戦所属

津田岳宏弁護士

 

津田岳宏弁護士著作

【津田岳宏弁護士の著作紹介】

『賭けマージャンはいくらから捕まるのか?―賭博罪から見えてくる法の考え方と問題点』

遊タイム出版

 

 

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