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調査、統計

士業ホームページのクリック率(CTR)調査。CTRから「読める」こんな意外なこと!

クリック率(以下CTR)はホームページ運用者に非常に有益な情報をもたらしてくれる指標です。通常のホームページアクセス解析の場合、CTRは「検索ニーズとページタイトルがマッチしているか?」などを見るのが主な使い方ですが、CTRを拡張させて考えれば「売上の見込み」やホームページやWEB広告の「投資判断」にも使える材料にもなります。

そもそもここでいうCTRとは、Googleやyahooなどの検索エンジンを使ってなんらかの検索ワードでユーザーが検索した際検索結果一覧が表示されますが、その一覧の中から自ホームページがクリックされる率のことです。

まずは弊社エムハンドの士業に携わるクライアントが運用する士業ホームページのCTRを調査してみました。

※CTRは「Google Serch Console(旧ウェブマスターツール)<検索アナリティクス」からご確認いただけます。

4つの検索キーワードタイプとCTR(クリック率)を【調査】

士業ホームページで見られる「ブランドワード」のCTR

ブランドワードのCTR【ブランドワード】平均CTR 43%

ここでいう「ブランドワード」とは「○○法律事務所」や「▲▲税理士」などの事務所名や個人名の固有名詞で検索されるキーワードのことです。こうしたキーワードはそのものズバリの指名ワードで、すでにその士業事務所を認知しているユーザーである可能性が高いです。

今回の調査では、士業ホームページがこうしたブランドワードで検索された時の平均CTRは43%でした。後述する各種検索ワードのCTRよりもズバ抜けて高いのが特徴です。

また当然ながら掲載順位も平均「1.1位」となり、全く同じ名前の士業事務所が多数存在しない限り、検索上位に表示されます。

一方で、「ブランドワード」は士業事務所の認知度がそのまま検索ボリューム(検索回数)になります。例えば世間に広く認知されていて消費者が「税理士と言えば…」で想起するような会計事務所であれば「ブランドワード」は増えますが、開設間もない事務所や一般消費者に向けてPRを積極的に行っていない事務所ではほぼ0に近い数字になります。ホームページを運営する士業事務所によってこのブランドワードからの検索流入は大幅に変動します。

士業ホームページで見られる「エリア+士業名キーワード」のCTR

エリア+士業名キーワードのCTR【エリア+士業名キーワード】平均CTR 1.7%

「エリア+士業名」の組みあわせは、「新宿 行政書士」や「大阪 会計事務所」などのエリアと士業/士業事務所名をかけあわせた検索キーワードです。

今回の調査の結果では、平均CTRが1.7%となりました。一般的にCTRは検索順位によって大きく変動すると言われていますが、今回の「エリア+士業名」ワードの調査では検索順位とCTRに目立った相関関係は見られませんでした。

むしろ検索結果に表示されるページタイトルに「適切なエリア名が含まれているか?」や、「検索結果に並んでいる他のページタイトル」のほうがCTRの変動要因として大きい印象でした。

例えば「兵庫県 弁護士→神戸 弁護士→神戸 中央区 弁護士」の順にエリアは限定的になりますが、エリアを絞れば絞るほど検索順位は上がる(表示回数は減少する)傾向こそ見られましたが、CTRの変化は見られませんでした。むしろエリアを限定していけばCTRが悪化するケースも見受けられました。

一方で、ページタイトルにて「神戸 中央区 弁護士」まで絞ってしまうと、隣接する区の検索ユーザーを取りこぼすリスクがあります。

このため「ページタイトルにどこまでエリアを含めるのが適切か?」という問題は単純ではありませんが、ページタイトルはユーザーを自ホームページに迎える一番最初の接点となりますので、多面的に検討する必要がありそうです。

士業ホームページで見られる「エリア+案件名キーワード」のCTR

エリア+案件名ワードのCTR【エリア+案件名キーワード】平均CTR 1.2%

こちらの「エリア+案件名」の検索ワードも、上記の「エリア+士業名」と同じような結果となりました。

「エリア+案件名」も多くのホームページ運営者が上位表示させたい人気のワードではありますが、CTRだけに着目するとそれほど高いパフォーマンスは見られませんでした。

もちろん検索結果ページの2枚目以降になると「検索ユーザーの目に触れる回数」自体が大幅に落ちます。「エリア+士業名」と同様に、単純な「率」だけでは考えられませんが、「エリア」複合キーワードで上位表示されれば大丈夫!というほど安易なものではないことがわかります。

士業ホームページで見られる「情報収集系キーワード」のCTR

情報収集系キーワードのCTR【情報収集系キーワード】平均CTR 19.8%

この「情報収集系キーワード」は、各士業に関係する悩み事や疑問を抱えているユーザーが、情報を求めて検索するワードのことです(「青色申告 方法」など)。またこうした検索ユーザーがたどり着くのは、ホームページのトップページではなく、解説コンテンツやブログの各記事ページとなります。

こうした「情報収集系キーワード」では、平均CTRが19.8%と相対的に高い数値が見られました。ただ「情報収集系キーワード」の注意点は、そもそも検索ニーズが限定的なものや、集客には直接的につながらないものも含まれることです。

それでもこうしたCTRの高さは大きな魅力ですし、また潜在的な顧客に事務所を訴求する効果も期待できます。「情報収集系ワード」でホームページに訪問してくる検索ユーザーに「答え」を用意しておくことは、中・長期的なスパンでメリットをもたらしてくれるでしょう。

士業ホームページの「CTR応用」モデルケース例

CTRは先述のようにとても応用が利く指標です。その応用例として、ここでは「ホームページの制作費用(=30万円)を回収できる期間」を、簡略化しながら試算することにしましょう。

 

【モデルケース1】

「地元ではそこそこの認知度があり、ホームページでは離婚案件をメインに押し出している弁護士の場合」

 

おそらくこのモデルケースでは「ブランドワード」からの検索流入が期待できます。仮に月間の検索ボリュームが100回(3.3ほど回/1日)だと仮定すると、前述の「平均CTR 43%」から

検索ボリューム100回×CTR43%=43回

で、43回のクリックがあることになります。

次に、こうしたブランドワードからのコンバージョン(問い合わせ)率は「10%」と言われています。

(【参考リンク】http://liskul.com/standard-cvr-973

となると、

43クリック×10%=4.3回の問い合わせ

があることになります。ただあくまでこれは問い合わせなので、実際に依頼につながるかどうかの打率を仮に25%とすると、

4.3回の問い合わせ×25%=1.08回の依頼

になります。これが「離婚調停」の依頼になった場合、「市民のための弁護士報酬の目安」に掲載されているから最頻値を参照すると、

着手金20万円+成功報酬30万円=50万円

となります。それまでwebからの集客が0だった法律事務所が1か月でホームページ制作にかけたコストを回収できることになります。

しかし、上のモデルケースはややデキ過ぎな印象です。なので、もう少し厳しいモデルケースで考えてみましょう。

 

【モデルケース2】

「行政書士資格を取得後、即独立開業した行政書士。新規開業のため事務所の認知度はほぼないが、ホームページでの解説コラムを半年間更新し続け、コラム記事からの流入が増えてきた状況」

 

このモデルケースでは、「情報収集系キーワード」からの流入がメインとなりそうです。仮にここで「バー 開業」と「bar 開業」のキーワードで解説したコラム記事が検索ページの1枚目に掲載されたとします。

Googleキーワードプランナーで見ると、「バー 開業」の月間検索ボリュームは880回、「bar 開業」は260回です。これに上の平均CTRに当てはめると、

検索回数880回×19.8%=174クリック(「バー 開業」)

検索回数260回×19.8%=51クリック(bar 開業)

174クリック+51クリック=225クリック

がひと月にあることになります。

こうした「情報収集型」の検索ワードから「深夜における酒類提供飲食店営業届け」に関する問い合わせにいたる率(CVR)が「1%(※上記参考リンク参照)」だったとすると、

225クリック×1%=2.7件の問い合わせ

となります。さらにこの問い合わせが実際に「申請書作成依頼」につながる打率が50%だったとし、またWEBで全国的に集客しているのでオンラインで完結する「申請書類作成のみ」の依頼を75,000円で受けていると仮定します。

2.7件の問い合わせ×50%=1.4件の依頼(月間)

現実にはありえないですがこの二つの検索ワードだけで集客し続けるとすると、ホームページ制作費用50万を回収するためには6.7件の「深夜における酒類提供飲食店営業届け」の作成依頼が必要となります。つまり、

6.7件の依頼÷1.4件=およそ5か月

この期間にコラムを更新し続けていた期間の半年を加算しますが、それでも「11か月」でコストを回収できることになり、それ以降はホームページから得られる依頼はそのまま利益と考えることができます。

まとめ

以上のようにホームページのCTRに着目すると、ページタイトルや記事タイトルの適合性はもちろん、ホームページの収益性なども考える指標になります。

もちろんCTRと同様にCVR(お問い合わせ獲得率)はホームページによって様々ですし、提供するサービスによっても大きく変わります。実際士業の場合は、ホームページのCVRが「1%」を下回っても、それほど深刻にとらえる必要はないでしょう(そもそもがマス向けの大量消費されるようなサービスではありません)。

ですがホームページでの集客や効果を考える時、検索ワードとCTRに着目すると面白いヒントが見つかります。ぜひ一度Google Serch Consoleをご確認してみてください。

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