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【お客様インタビュー】「伏見総合法律事務所」牧野誠司弁護士に聞く「マス集客」を狙わないホームページ運用術

今回の「お客様インタビュー」では、弁護士法人「伏見総合法律事務所」の牧野誠司弁護士にお話をうかがいました。弊社エムハンドとは5年にわたるお付き合いとなるお客様です。

牧野先生は「伏見総合法律事務所」のオフィシャルサイトではブログを、「交通事故」「医療法務」「スポーツ法務」「宗教法人」「事業再生」の各専門サイト(弁護士案件に特化したサイト)ではコラムを運用されています。

今回はそんな牧野先生に、ホームページの運用状況や集客状況そして「弁護士とホームページ」の関係性についてお話をうかがいました。以下、インタビューです。

ホームページ運用状況について

伏見総合法律事務所ホームページスクリーンショット(「伏見総合法律事務所」公式ホームページ)

――まずはじめにホームページを開設しようと思われたきっかけを教えてください。

独立して新しく法律事務所を作ったので、それがホームページ開設の大きなきっかけの一つです。すでに法律事務所としての体制が整っている事務所で「ホームページを作ろう」となると、何らかのきっかけですとか所内の意思決定プロセスを経る必要がありますが、新しく独立して「じゃあ普通はホームページっているよね」という発想でした。

なのできっかけは独立なんですが、開設した目的は「集客」あるいは「名刺代わり」でした。ただ最近ではホームページの役割を自分なりに分析してみて、「集客」に加えて「ブランディング」の役割を考えるようになりました。

――ホームページを運営される中で重視されていることを教えてください。

拡張性のあるページ(ブログやコラム)については、コンテンツを「書く」ことが目的というよりも、書くまでの「勉強するプロセス」を重視しています。

つまりブログやコラムの記事を更新するためには、それに向けた勉強をしなければなりませんが、この過程でぼんやりとだけ理解していた知識を整理するいい機会にもなっています。

弁護士事務所の「集客」について

――現在のホームページからの集客状況はいかがでしょうか?

事務所全体(オフィシャルサイトと各専門サイトの全体)としては、相当数あって「週に一度くらいお問い合わせの電話がある」というペースです。これは月に4、5本、年単位だと52件くらいの新規のお問い合わせなので結構な数になります。

ただその法律事務所の目指すところによって変わると思うのですが、マスな集客をしたいのであればホームページでの集客は形を変えてやるべきだろうと思います。ですがうちの場合ですと、ホームページから集客しようという発想は現在では全くありません。

それでも週1くらいのペースでお問い合わせをいただけていますので、エムハンドさんに作成いただいたホームページは集客ツールとしては相当に効果的なんだろうなと思います。エムハンドさんには集客を主目的にホームページ制作をお願いしたわけでもないのにこれだけ効果が出ているのであれば、集客を主目的にしたサイトをエムハンドさんにお願いしたらもっと集客効果はあるのでしょうね。それは当事務所の目指しているところではないのですが(笑)。

――ホームページから来る問い合わせはどのような案件が多いでしょうか?

離婚、借金問題、男女関係、あとは交通事故ですね。ご依頼者様の住所地が近いので、「地名+弁護士」のキーワードで検索して、ホームページをご覧になる方が多いのではないかとイメージしています。

――アナログでの集客の状況はいかがでしょうか?

一度地元新聞社が発刊している生活情報紙に広告を掲載したことがあるのですが、結構な数の問い合わせをいただきました。でも問い合わせをいただいて思ったのですが、うちの事務所はもともと睡眠を削って仕事をしないと回らないほどお客さんがいらっしゃるのに、新たにこんなにたくさんのお問い合わせは要らない、と…(笑)

そもそも以前に在籍していた事務所では働きすぎなほど働いていたので、独立を機にもう少しゆったりやりたいという気持ちがありました。それなのに「今でもすでに忙しいのに、なんでこんなことをしちゃったんだろう?」と。もちろん来られたお客様に対応を変えたりはしていませんが、それ以降は広告等は一切打っていません。

――独立後に「集客」の不安を感じられる弁護士の方は少なくないかと思いますが、集客に困らないコツなどはあるのでしょうか?

うちはご依頼者様からの「紹介」で回っています。これはサービス業一般で言われることかもしれませんが、世間に広く広告を打つよりも、従前の私たちを信頼してくださっているご依頼者様に窓口になってもらって、その方々に自然と広告塔になっていただくのが一番広告効率がいいと思います。

――それは「口コミ」ということですか?

「口コミ」です。またご依頼者様が友人や知人に「いい弁護士さんを紹介したい」という思いですよね。目の前の事件を丁寧に、かつ満足いただけるように取り組むことで、比例的に集客は上がってくると思います。

――確かに口コミで集客できるのであれば、広告費用自体必要なくなり広告効率は飛躍的に改善しますね。

そうですね。そして「紹介」から来所されるご依頼者様というのは「相見積もり」の世界ではないんです。つまり「この弁護士はいい」と思って来所されていて、「この弁護士が出す価格は適正な価格だ」という口コミを聞いて来られます。他の法律事務所の出している料金と比較検討されて来られるわけではありません。なのでそういうご依頼者様には費用面でもほとんど余計な説明する必要がありません。もちろん費用面の事前説明はきっちりしますが、よそとの比較という観点での説明はほとんどしません。

もちろんそうやって来所されるご依頼者様に対して、サービスのクオリティを下げてしまうと最悪ですが、適正価格でクオリティを保ち、きちんと対応しておけば他の余計なことは考えなくていいんです。つまり弁護士業務という職人的な業務にあたる前段階にはお商売人的な要素があるのですが、それを省くことができるということですね。その結果弁護士側もより自分の本来の業務に専念できるという、いいサイクルが生まれます。

――ホームページの活用面という点ではいかがでしょうか?

ホームページは友人・知人から「紹介」いただく時に、有効なツールになります。つまりいくら友人や知人の紹介と言っても、ご依頼者様には「ほかにもっといい弁護士がいるかもしれない」という思いがあると思います。その時にホームページの情報にアクセスしてもらうことで、「ちゃんとした弁護士のようだな。あの友だちの言うことは間違いなさそうだな。」と安心してもらえるようになります。

なので現在うちのホームページは、紹介してくださる方には「紹介しやすさ」の便宜を、あるいは紹介された方には「安心していただけるためのツール」という使い方がメインになっています。そういう意味では「ブランディング効果」ですね。

一方で、「紹介」を経ずに「ホームページ」だけをご覧になって来所されるご依頼者様は単発のご相談で終わってしまうことが意外と多いんですね。

だから、当事務所では、「紹介(アナログ)」とそれを補強する「ホームページ(ウェブ)」の二つの要素がうまく噛みあって、いいカタチになっているのではないかなと思っています。

――ご依頼者様に「いい口コミ」を広めてもらうという点で、懸命に業務に取り組む以外で、なにかコツはありますか?

まず第一に、ちゃんと勝たないといけません(笑)

「こんなに結果を出してくれるんだ!」という驚きを感じていただけると、ご依頼者様は喜んで色んな方に口コミしてくれます。ですので業務を頑張るというのはもちろんなのですが、それよりも「結果を出す」ということが最良のポイントです。

あとは、私よりもご依頼者様の方のほうが人生経験が上ということのほうが多いです。なのでご依頼者様に対して、友人関係や先輩/後輩関係のような親愛の情ですとかリスペクトをもつことだと思います。

ブログおよびコラムの運用状況について

4弁護士による交通事故相談サイト[専門サイト]

――ブログやコラムの運用体制についてお聞かせください。

ポイントは、「義務化」ですね(笑)

以前は月2更新のペースで運営していたのですが、私も含め、更新ノルマの滞納者が出てしまい…現在は月1のペースです。ですが来月から弁護士数が7名に増えるのですが、そうなると1人ずつ月1更新をしても月7本で年間84本の記事が更新できることになります。体制としては「無理のない義務化」といったところです(笑)

――どの士業の先生にお聞きしても、やはりブログ更新のリソース確保には苦心されているようです…。

そうでしょうね(笑) でも運営を通じてわかってきたのは「5行でもいいから書く」ことが大事なんだということです。私たちのような弁護士の目線からすれば「薄い内容」でも、ご依頼者様の目線からすれば、そうではないかもしれません。

それを「判例はこうなっている」とか「そもそも論」まで展開してしまいたくなる弁護士って多いと思うんです。つい「どうせ書くならしっかり書こう」と思ってしまうんですね。

もちろんそこまでできれば知識の集積という意味でもいいのですが、「これを書きたいけどたくさん書かないといけないから明日に」という理由で後倒しになり、そのままズルズルやってしまうくらいなら、五行でも書くほうが重要だと思います。

だから所内では「あまり長いのは書かかないように」というお願いをしています。「長い記事を書かなければならない」という風潮は作りたくないので、私が率先して短い記事を書いています。

――「リソースの確保」と同時に「ネタ切れ」もコラム更新のつらいところではないかと思いますが、どのように対処されていますか?

自分が法曹界ではない人に話している内容を覚えておくことでしょうか。ご依頼者様や一般の方などによく聞かれることや、自分が何回もお話していることは記事のテーマとして「興味をもってもらえること」でもあります。

例えば「民事訴訟で負けたほうは弁護士費用を負担しなければならないのか?」とか「なぜ弁護士は悪人を弁護するのか?」というテーマも、弁護士同士だと当たり前すぎて議論しようという気さえ起こりません。そういう法曹界ではない人たちの関心があるところを覚えておくように意識してます。自分が疑問に思うことって意外と狭いので、他人に質問されたことを覚えておくというイメージです。

弁護士事務所のホームページは「集客」より「ブランディング」を目指すべき理由

1――京都の弁護士事務所のホームページ開設率を調べてみたところ、309事務所中172事務所で開設率は56%でした。(※京都弁護士会に掲載されているデータを元に計測しています)この数字にどのような印象をお持ちになりますでしょうか?

(【参考】一般企業のホームページ開設率は84.3%[平成24年総務省統計より])

低いですね。でも最近法律事務所を新設された方に絞るともっと開設率は上がると思います。ただやはり弁護士事務所全体となると、こんなところかなという感じもします。

先ほどの話とリンクするのですが、一般市民の方すべてをターゲットにしたようなマスな集客を行うのであれば、ホームページは絶対に必要だと思います。

でも自分の身の回りの人々を助けたいとか、一般市民の方だけでなく企業の相談役を目指す弁護士事務所はまずホームページで集客をしようとは思いません。やはり従前のお客様を大事にしようされるはずなので。こういう方にマスに向いたホームページでの集客はメリットがないんです。

――なぜメリットがないのでしょうか?

そもそも、従前のお客様の口コミを集客の基本ツールにしている弁護士事務所からすれば、一般消費者に対しておおがかりな集客をしてしまうと、従前のお客様やそのお客様が紹介してくださるお客様に対するサービスの質が低下したり、あるいは、低下するのではないかという疑いを持たせたりすることにもつながりますよね。そうすると、一般消費者の方や新規顧客を大量に集客するより、従前の信頼関係のあるお客様を大切にした方が、安定的で堅実な成長が達成できるのです。

この「集客目的」を重視したホームページの「逆効果」については、弁護士業界以外でも言えることですよね。例えばBtoB業界で例を挙げると、卸業をされている方がホームページを作って一般消費者に対して集客し始めたら、その会社の今までの取引先である小売り業者の方は怒りますよね?「消費者に商品を売るのは僕らの仕事でしょう」と。しかも卸業者が仕入れ値で一般の方に売ったりしようもんなら、業界の構造自体が崩れてしまうことになります。

しかしこうした「配慮」もホームページの「集客以外の効用」について理解されていない部分があると思います。先ほどの話ですが、「紹介してもらいやすさ」や「紹介したくなる」という点でも、ホームページは有効なツールなのですから。

一般的にホームページを開設する理由は「集客」だと思われていますが、実はこういう「紹介力の向上」だったり「ブランディングツール」でもあるんですよ、という認識が広まればもっと開設率は上がると思います。

先ほど例に出した卸業者さんも、「toC(顧客に向けた)」のホームページを開設するのではなく「toB(業者に向けた)」ホームページを作れば、新しい取引先業者さんを獲得できる機会が広がりますし、また信用力も上がります。

つまりホームページは必ずしも「toC」ばかりに向いたものではないということですね。なのでマスのコンシューマーに向けたホームページではなく、ブランディングだったり社内の知識の蓄積のために使えるようなホームページはもっと増えていいのではと思います。

エムハンドについて

――最後にエムハンドに弊社をホームページのご依頼先に選んでいただいた理由をお聞かせください。

私自身が「ホームページは法律事務所の顔」だと思っているので、しっかりとやってくれる制作会社にお願いしたかったんです。それで3社くらいに見積りに来てもらったのですが、その中でエムハンドのディレクターが圧倒的でした。

他の見積もりにきてくれた制作会社のディレクターはホームページの制作に関する知識がない方が、営業を担当されていました。なので「完成予定のホームページのデザインのイメージ」とか、「値段がどうなるか?」ということもビシっと言ってくれないんですね。

ホームページ制作会社の半分とは言わないですが、一部は値段設定が明らかに奇異なところがあります。ですので、その点はかなり注意しました。

その点エムハンドのディレクターは、ホームページの制作工程の最後までイメージができていて、また値段に関しても「うちは決して安売りはしていません」とハッキリ言ってくれました(笑)。とはいえ、めちゃくちゃ高いという価格でもありませんし、料金体系も不誠実さとかズルさがなく明瞭で「毎月管理費がいくらで…」など継続的に料金が発生しないのもよかったです。

あとはエムハンドのコーポレートサイトがスッキリしていて印象がよかったのもありますね。私がいいと思うのなら、私とエムハンドのデザイナーとの相性もいいんだなと思いました。

人物紹介

牧野誠司弁護士

 (略歴)

2001(平成13)年11月 司法試験合格(大学三回生時)
2003(平成15)年 3月 立命館大学法学部卒業

2005(平成17)年 4月 司法研修所入所
2006(平成18)年10月 司法修習終了(59期)弁護士登録(大阪弁護士会)

2010(平成22)年10月 伏見総合法律事務所開設
2013(平成25)年4月 近畿財務局より経営革新等支援機関として認定

伏見総合法律事務所ホームページ:http://www.fushimisogo.jp/

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